私には小説という名の駄文を執筆していた過去がある(詳しくはNo,50 小説家になろうと思った私を参照されたい)。
No,50では、失敗談として、いかに私が駄作ばかり書くエセ作家であるかをツラツラと寄稿した。
読者の皆さまからすれば、私が気持ちの悪い恋愛小説家であったと言う印象だけが残っていることだろう。
しかし!
今回、読者の皆さまには、その印象を払拭していただこうと思っている。
確かに、あの頃の私の文章は、読めたものではなかった。
当時恋愛小説にドップリはまっていた私は、恋愛経験が豊富でないにもかかわらず、妄想を膨らまし、それを文章化していた。
考えても見れば、恋愛経験乏しい私に、そんなもの書けるはずないのだ。
執筆活動に行き詰まった私…。
だが、ある日素晴らしい小説と出会い、私は目覚めるのである。
そして、路線変更を決意する。
その作品とは、小川洋子先生の名作「博士の愛した数式」である。
調べたところ映画化もされている。
よって、ご存知の方も多いと思うが、ストーリーはこうだ。
家政婦紹介組合から派遣された「私」が、記憶力の低下した数学博士と出会う。
「私」には息子がいた。
博士はその息子をたいそう気に入り、可愛がる。
だが、博士の記憶力はどんどん悪くなっていくのであった…。
そう、この作品、かなり平坦な作品である。
もちろん途中途中に色々あるのだが、終始平坦なストーリーが続く。
だが、その読後感は凄い。
新緑の森を抜けた後のような、
湖の上を歩いた後のような、
揺らめく炎がゆっくりと消える様を見た後のような、
なんとも言えない気持ちになるのだ。
衝撃であった。
こんなにも人を違う世界に連れて行ってくれる作品があるとは、夢にも思っていなかった。
それから私は、この手の作品を読みまくるのである。
重松清先生の「とんび」
挙げればきりがない。
それから私はペンを取る。
正確にはキーボードを叩くのだが…。
そして私は、小さな文学賞に短編小説を応募する…。
結果、一枚の封筒が私の元に送られてきた。
「この度は◯◯文学賞に応募いただきありがとうございます。さまざまな作品を読ませていただきましたが、◯◯さんの作品はプロット構成・文章もしっかりしており、一定の評価が集まりました。残念ながら大賞受賞とはなりませんでしたが、佳作という形で当文学賞ホームページ内で紹介させて頂こうと考えております 中略 これからも良質な作品を作り続けて下さい。」
大賞じゃない…。
ガックリとしたが、佳作でも選ばれたことが嬉しかった。
それからも私は小説を書き続けている。
このブログも文章好きが高じて続いている。
いつかは色んな方に私の小説を読んでいただける日がくれば良いなと思っている今日この頃である。
継続は力なり。
まさにその通りかもしれない。
ちなみに、この間読んだ小説が、エログロ小説だったのはまた別の話である。ブロッコリーも植えた。秋に向けての準備はバッチリである。