こうして私は主夫になった、、、

表現者を目指して最終的に主夫となった男のブログ

No,96 盆踊り

会では盆踊りなんぞという風習は既に風化してしまっているかもしれないが、

ここ、私の住むド田舎では毎年この季節に盛大な盆踊りが開催される。

公園の中心に櫓を建て、太鼓をドンドンと鳴らし、皆が好き放題踊り狂う。

まさに夏の風物詩である。

昨晩、我が一家もこの一大イベントに参加した。

 

夜の7時。

ぼちぼち日が暮れ始める時刻に、私たちは家を出た。

公園が近づくと、和太鼓の気持ちのいい音が聞こえてきた。

盆踊りというのは不思議なもので、その音を聞くと大人もワクワクとした気持ちになる。

私も、後数分で無料ビールが飲めるという楽しみから胸が高鳴っていた。

現場に着くと、数多くの提灯が我々を迎えてくれた。

提灯というのは実に妖艶な輝きを放つ照明である。

連なった提灯を見ると気持ちが落ち着くものだ。

そんな時、私の体には日本人の血が流れているのだと確信するのである。

きっと、提灯がなければ盆踊りの雰囲気は作り上げられないだろう。

だが、私の目的はビールである。

提灯の明かりに照らされた私は、そんな雰囲気を感じることなく、

そそくさとビールを入手しに受付へ足を向けた。

盆踊りにビールというのはもはや定番の組み合わせで、

ビールを飲めば盆踊りの雰囲気に馴染めるのである。

 

私はもらった一杯のビールをものの数分で飲み干し、さらにもう一杯のビールを飲んだ。

この辺から私のテンションはボルテージを高めていく。

テンションの上がった私は子供達を踊りに誘った。

 

だが、このブログでも紹介したように、我が子は生粋のビビリである。

特に、娘にあっては、太鼓の音を聞くだけで立ちすくみ、何も手につけられないほどである。

昨晩も、例のごとく、娘は太鼓の音に怯えてしまい、一歩も動くことができなくなってしまった。

 

しかし、娘とは対照的に、息子はやたらと盆踊りに興味を持ってくれたのである。

盆踊りの輪に参加する前から、体全身を使って、めちゃくちゃな盆踊りを踊り始めたのだ。

子供と何かをするときは常何時でも全力の私である。

盆踊りは得意ではないのだが、子供と参加するためには全力で踊ろうと腹を括った。

 

しばらく参加者の輪に混じり、適当に盆踊りを踊っていた私であったが、徐々に踊りが楽しくなってきた。

しかし!

直後、とんでもない事件が起こり、私は焦燥するのである。

今回の事件については、全責任は私にある。

理由としては、踊りに集中してしまったがために、うっかりと息子の監視を怠ってしまったからだ。

気がつけば、私の周りに息子がいないという事態に陥ってしまったのだった。

 

私は焦った。

空は薄暗く、子供が攫われてもおかしくないような時間帯である。

私は大声で息子を何度も呼んだ。

しかし、私の大声は虚しくも、太鼓の音にかき消されてしまう。

 

いよいよヤバイと思った矢先、私は信じられない衝撃的な出来事を目撃してしまう。

 

なんと、我が息子が、櫓の上に登って踊り狂っているのである。

とりあえず息子が見つかったことによる安堵と、櫓の上に息子がいる信じられない光景に、私は混乱してしまった。

しかし、そんな親の気も知らず、息子は櫓の上で踊り狂っていたのである。

 

この事件の真相はこうであった。

まだ一歳半の我が息子は、それはそれは可愛らしい。

だが、盆踊りはメチャクチャである。

そんなメチャクチャな盆踊りを踊る愛くるしい息子を見て、

実行委員会の人が櫓の上にあげてしまったということであった。

知らない人が子供の世話を焼く。

これも田舎あるあるの一つである。

周りの人たちは、突如現れたメチャクチャな踊りを踊る息子を見て大笑い。

皆、櫓の上を指差し、ワンマンショーを繰り広げる我が息子に大喜びしていた。

どうやら息子は人生初のステージに上がり、悦に浸ってしまったようであった。

息子が満足してくれたのだから、盆踊りに参加した甲斐があったというものである。

 

ところでその後、我が息子は太鼓がドンドンなる喧騒の中、踊り疲れて眠ってしまった。

息子を抱っこして家に帰るのはかなり疲れたというのはまた別の話である。

f:id:syufuninaru:20180815080115j:imageこれがその盆踊り。この写真では見えないが、上では我が息子が狂ったように踊っていた。