こうして私は主夫になった、、、

表現者を目指して最終的に主夫となった男のブログ

No,71 禿げ

性にとって、最大の天敵は、禿げに違いない。

別名”男性型脱毛症”と言うらしい。

そもそも、髪と言う字は、

”長”と言う字と、”友”と言う字が組み合わされている。

通常、永遠の友でなければならないはずだ。

だが時として、その友は我々の元から去っていくのである。

こちらから見切りをつけようだなんて物好きはおそらくいないだろう。

 

男性にとって、いや、女性にとっても大切な存在である髪の毛…。

にもかかわらず、私は昨晩、大失敗をしてしまった。

ここから先の文章は、私の懺悔である。

 

私の息子の髪は、同年代の子供達に比べてとても薄い。

生まれながらにして男性型脱毛症ではないかと見紛えるくらい、

猫っ毛なのである。

しかし、そんな髪の毛であっても、

一本一本の髪はしっかりと成長するものだ。

よって私は、昨晩、

息子の髪の毛を初めてカットすることとなった。

 

私は息子を、

”男らしい洒落た坊主頭のイケメン”

にしてやろうと思っていた。

もう一度言おう。

”洒落た坊主頭のイケメン”

にしてやろうと思っていたのである。

だが、私は美容師でもなんでもない。

ハサミで綺麗な坊主を作るほどの散髪技術は持ち合わせていない。

そこで、普段は滅多に使わないバリカンを家の奥から引っ張り出してきたのである。

 

ここまでの話で大凡の予想がついた方もいるだろうが、

最後までお付き合いいただきたい。

 

私は、髪を6ミリに切り揃えるアタッチメントをバリカンに装着し、

息子の頭をカットした。

するとどうだろう、息子の頭はみるみる間にお洒落な坊主頭に変貌していった。

私のような素人でもそこそこの坊主を作れるバリカンという道具は、

実に素晴らしい道具であった。

バリカンを発明した人はきっとお洒落な坊主頭をしていたに違いない。

 

息子の髪の毛を全て6ミリに切りそろえた私は、

その丸みの美しさを見て、悦に入っていた。

自分の技術は素晴らしいのだと勘違いをして、

感嘆のため息をつく始末…。

 

その時私はこう思った。

「この道具は素晴らしい。上手に使えばサイドは短く、トップは長めにカットするのも容易ではないだろうか?」

と…。

 

今思えば、そこでやめておけばよかった。

自分の技術を過信した私は、

サイドを短めにカットしようと、

再びバリカンのスイッチを入れたのである。

 

ここからが、息子にとって不幸の始まりであった。

ご存知の方もいるとは思うが、

単に髪を切り揃えるだけでなく、

頭の部位によって髪の長さを調整するというのは、

いくら優秀な道具であるバリカンを持ってしても、

実に難しい作業なのである。

 

一部を短くすると、

それに合わせるために他の部分も短く整えていく。

それを繰り返すとどうなるか、想像に難くないだろう。

私はいつの間にやら、散髪の迷宮に入り込んでしまっていた。

 

息子の髪を整えている間、

私は散髪の際に言ってはいけないNGワードである

「あっ」

「ちくしょう」

「くそ」

「あ、失敗」

なんていうセリフを連呼していた。

そして、気がつけばもう取り返しのつかないことになっていたのである。

 

「ええい、ままよ」

ガタガタの髪になってしまった息子の頭を見て、

私は思い切った行動に出た。

バリカンのアタッチメントを外し、

息子の頭を刈り始めたのである。

 

そこから先は皆様のご想像の通りである。

息子の頭は青々とした丸ハゲになってしまった。

永遠の友であるはずの髪の毛に、

親の私が引導を渡してしまったのである。

息子の姿はまるで、

お味噌のコマーシャルに出演していた少年のようになってしまった。

 

後に、散髪の間風呂に入っていた妻が、

息子の頭を見て号泣したのはまた別の話である。f:id:syufuninaru:20180721075014j:image気が付けば胡瓜がなっていた。